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経験者に聞く

参加者の声(マレーシア)-日本語パートナーズ、現地の日本語教師・生徒

マレーシア9期 津島 杏奈さんへのインタビュー

NPに応募したきっかけ

私の通っている大学は外国語大学なのですが、大学で海外にルーツを持っている学生に出会う機会が多くありました。話を聞くと、小中学生時代に来日したという人も多く、来日当初は言語の面、文化の面から日本の生活に馴染むことが大変だったとのことでした。私自身は大学入学を期に上京するまで田舎にいたためか、自分の回りに海外にルーツをもつ子どもがいなかった(もしくは気づいていなかった)ので、大学でその事実を知り衝撃を受けました。将来教師を志す身として、日本語教育や異文化理解の知識を身につけたいと思い、NPへの応募を決意しました。

派遣先校での一番の思い出

ソーラン節、応援団、よさこいの大会に出場したことです。厳密には私が出場したわけではなく、日本語を履修している生徒たちでチームを作り出場したわけですが、私もパフォーマンス指導と衣装作りに携わったので、気持ちとしてはチームの一員でした!
大変だったのは、大会開催日が学校のテスト期間と重なっていたことです。思うように時間を確保することができず、大会前日(正確には当日)の深夜2時まで練習、衣装作りに励んでいました。正直かなり辛かったですが、生徒と一緒に眠い目を擦りながら頑張った時間は忘れられない思い出になりました。

全寮制の学校だったので、夜ごはん、シャワーの後に再集合して夜遅くまで練習していました

大会では見事入賞を果たし、その時の生徒たちの笑顔、胸に溢れた達成感は今でも鮮明に覚えています。帰り道に生徒たちから寄せ書きをもらい涙が溢れて止まらなかったあの瞬間も、今でも色褪せない大切な思い出です。

大会後、「この思い出を形に残るものに!」と
第2位の「ひまわり賞」にちなんだメダルを作りプレゼントしました

私の派遣終了後にも同じ大会があり、CPが動画を送ってくれました。そこには、私が制作した衣装を身に纏い、一生懸命パフォーマンスをする生徒たちの姿がありました。今年も入賞を果たし、満面の笑顔で「あんな先生ありがとうございまーーす!!」と言う生徒たちを見て、私が派遣前に立てた「私が離れた後も残るものを」という目標が達成されたと嬉しく思いました。

大会に参加した生徒たちと一緒に

NPの経験を通して学んだこと

応募時からの目標であった、日本語教育や異文化理解に関する知識は、NPの経験で得た大きな学びです。異文化理解については、特にイスラム教への理解が深まりました。私の派遣先校はほぼ100%ムスリムが在籍する学校であり、日々の学校生活や学校行事がムスリムのスケジュールに沿って行われていました。
また、CPもムスリムで、ハリラヤ(断食月明けをお祝いするムスリムにとっての一大イベント)の時には、ご実家にも招待してくださいました。このようにムスリムの生活にどっぷり浸かり、さまざまな文化・慣習を学ぶことができました。

学校行事にて学校の先生たちと。ドレスコードは伝統衣装であるソンケットでした

そんな中、派遣当初かなり戸惑ったことがありました。それはみんなが私に優しすぎることでした。派遣前の私の普段の生活圏ではgive and take が前提にあり、相手との関係性に応じて自分がどれだけ相手に尽くすかが左右されていた気がします。しかし、派遣先では、初対面の人であっても私が到底返すことのできないくらいの優しさをくれました。今までそのような経験がなかったため最初は戸惑いが大きかったですが、イスラム教の考え方を学ぶことで、その理由がスッと腑に落ちました。イスラム教では「他の人に良いことをしたら、それを見た神様が恩恵を与えてくれる」という考え方があったのです。つまり彼らは私に見返り等求めておらず、神様から恩恵が返ってくると信じて、周りの人に優しく接していたのでした。彼らの心の核にあるもの、すなわちイスラム教の教えを学ぶことで、私とは異なる彼らの価値観、生き方を理解することができた良い経験でした。

マレーシアという初めての場所かつ知り合いもいない場所で、楽しく充実した日々を過ごすことができたのは沢山の優しさをくれたムスリムたちのおかげです。

いつも支えてくれたCPのご家族と。休み期間にはいろいろな場所に連れて行ってくれました

帰国後、現在の職業・活動に活かされていること

帰国後もNP応募時から変わらず教師を志しており、母校での教育実習も行いました。その際にNPでの経験を話す機会があり、マレーシアでソーラン節等の日本文化に関する大会が開催されていること、マレーシアには日本語を一生懸命勉強している生徒が沢山いること、イスラム教のこと、現地での生活のこと等を生徒たちに伝えることができました。生徒たちは、「日本にいるとなかなか知ることができないことばかり!」と興味を持って私の話に耳を傾けてくれ、日本の生徒たちがマレーシアについて知るきっかけを作ることができたと嬉しく感じました。

教育実習でも紹介した、派遣先校での日本ファッションショーの様子
日本から遠く離れた地で日本文化が親しまれているのは嬉しいことです

将来教師として働く際には、母校での教育実習の時のようにNPでの自分の経験を伝えることで、子どもたちの異文化理解を促していきたいです。また今回の経験を通じて、異文化を理解できただけでなく、異文化に飛び込む際に生じる不安や孤独といった感情を身をもって味わうことができました。これらの経験を、海外にルーツをもつ子どもたちの気持ちに寄り添うこと、子どもたちに適切な支援を届けることに活かしたいです。さらに、NPで得たご縁を大切にして、日本の生徒とマレーシアの生徒とを繋ぐイベント等を企画することができたらなと思っています。

派遣先校での最終日に生徒たちと
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