西舘さん、浜桐さんの派遣先校の生徒へのインタビュー
日本語を学び始めたきっかけ
私は外国語を勉強することが好きで、日本語以外にも英語やスペイン語を勉強しています。その中でも日本語を学ぶことは私にとって特別なものです。なぜなら日本語の勉強を通じて、ただ言葉を学ぶだけではなく、新しい知識を得たり、親しい友達ができたからです。
私は中学校に入学したときに外国語として英語だけを勉強するか、英語と日本語の両方を勉強するか、授業を選ばなければなりませんでした。以前に叔父が日本語を少し教えてくれる機会があり、「あ、い、う、え、お」ぐらいのレベルでしたが、文字の書き方が面白いなと感じて日本語に興味をもったので、英語以外に日本語も学ぶことを決めました。
ハイバーチュン高校に入学した10年生(日本の高校1年生)のときに、日本語教師のゴック先生に出会ったのですが、ゴック先生が対日理解促進交流プログラムの「アジア高校生架け橋プロジェクト」を紹介してくれました。
そのときの私の日本語レベルは日本語能力試験(JLPT)のN5程度で高くなく、他の応募者と比べたら見劣りするのではないかととても心配でした。一方で、何かにチャレンジしたいという気持ちが強くあり、日本に行ってみたいという気持ちもあったので、思い切って応募してみたら、2021年度4期生として合格することができました。
2021年10月から2022年3月まで約6か月、福岡県にある高校に留学したことをきっかけに、たくさんの友達ができ、日本語が上手に話せるようなったことで、自分を成長させることができました。また、出会った日本人がみな優しく接してくれたので、日本人や日本に対する親しみも大きくなりました。
日本からベトナムに戻った後は、積極的にスピーチコンテストや優秀学生コンテスト等、日本に関係するコンテストによく出場しました。また、ゴック先生と協力して学校内で日本クラブを設立したり、翻訳プロジェクトに参加したりして、日本語能力が向上するように勉強や活動に取り組みました。
ベトナムで日本人と交流する機会について
私は運が良いことにNP派遣事業のおかげで、ハイバーチュン高校にNPが来てくれて、西舘さんと浜桐さんに出会うことができました。さまざまな交流を通じて日本人と話すことが好きになったのは、私が日本語を学ぶ中での一つの財産です。
NPが来て良かったこと
NPが日本文化について、生きた知識を紹介してくれることです。
NPが来る前は、日本の漫画や映画等を見たり読んだりするだけでしか日本文化や習慣を知ることができませんでした。
しかし、現実には漫画や映画の中に出てくることや、インターネットの情報もそのままではないことが多いですし、ちょっとしたニュアンスの違いもわからないことがあります。また、本当に正しい情報かどうかも日本に住んだことがなければ私たちにはよくわかりません。だから、日本で暮らしていた日本人のNPが来て、そういう違いを教えてもらえることがとても良かったです。
また、NPが授業に参加してくれたことで、私たち生徒の日本語学習の意欲が高まりました。
NPがどうすれば授業で生徒が盛り上がるのか、どうすれば授業の内容が面白いと生徒が感じるのかと、いつもゴック先生と一緒に考え、新しいアイデアを実践されていました。
例えば、西舘さんが来る前は、私たち生徒は教科書の漢字を見ながら、教科書のガイド通り、鉛筆でノートに書いて漢字を勉強していました。しかし、西舘さんが実施された書道体験の中で教えてくれた漢字の書き方は、これまでの勉強方法と違いとても分かりやすかったです。筆ペンと書道の紙を使うので、普通の鉛筆でノートに書く感じと違って、手の力が文字に直接伝わっていることが感じとれ、書き順を簡単に頭に入れることができました。そのような工夫で、私たち生徒は漢字を書くのが面白くなりました。

また、浜桐さんは、日越外交関係樹立50周年記念イベントのために行なったアニオー姫の劇の一部を日本語で再現することを手伝ってくれました。浜桐さんがいなかったら、生徒だけでは演技や台本を作るのが難しくて上手く演じることができなかったと思います。
アニオー姫の劇の様子は、浜桐さんが派遣中に寄稿された「パートナーズの声」にも掲載されています。
パートナーズの声「ホイアン・ラブ」
NPが来てからの日本語の勉強に対する意欲の変化
私だけではなく私の同級生もNPが来てから、日本語学習に対する意欲がとても高まり、授業で積極的に先生の質問に答え、勉強に集中するようになりました。私と同じように、日本人と話して交流することが面白くなり、NPと話せるように日本語の勉強を頑張る友達が多くなったと思います。
私はゴック先生からNPが私の学校へ来ると連絡をもらったときに、「いつNP が来るのですか」とゴック先生に興奮しながら聞いたのを今でも覚えています。NPと話したり、遊びに行ったりすることが楽しみで仕方がなかったからです。
NPが学校に来て初めて話したときに、やっぱり日本人と話すことは楽しいなと、嬉しさでいっぱいになりました。
NPと話すときは、発音を練習したり、言葉遣いや会話の間違ったところを直してもらうことができるので、日本語の勉強にも大変ためになりました。
また、何気ないNPとの会話を通じて、自分の日本語が未熟で、まだまだ向上させる余地があることに改めて気付きましたし、現状に甘えることなく、さらに上達するように勉強を頑張りました。
西舘さんや浜桐さんが帰国するときは、とても寂しかったです。「また日本で会いましょうね」と約束したので、この約束を実現することを目標とモチベーションにして、日本語学習を頑張っています。
NPとの一番の思い出
印象に残っている思い出と言えば、スピーチコンテストのスピーチ練習のために西舘さんと浜桐さんが熱心に応援し、サポートしてくれたことです。
スピーチコンテストは、全国の色々な学校から応募者が集まるので、日本語レベルも高く、私はとても心配で不安でした。しかし、西舘さんが「恐れないで。相手が誰なのかをあまり気にする必要はない。ステージに立って、自分の感情や言いたいことをすべて伝えられたら、それはもう大成功だよ」と言ってくれて、とても感動しました。西舘さんの言葉はスピーチコンテストに参加することだけでなく、その後の他の多くのコンテストに参加するモチベーションにもなりました。
浜桐さんも「勇気を持って、自分の言いたいことを伝えることが大切ですよ。勝てるかどうかを心配する必要はありません」と励ましてくれました。西舘さん、浜桐さん二人からの言葉は、私が日本語に関するコンテストに参加することと私の日本語学習に大きな影響を与えてくれたと思います。
日本語学習における今後の目標
大分県の大学へ留学することが決まっているので、そこでたくさんの日本人や他国の友人を作ることです。そして1~2年後にはJLPTのN2に合格したいです。
また、私は旅行が好きなので日本の大学に留学している間に、友達と一緒にできるだけ多くの場所を訪れたいと思っています。テレビ番組や映画を見て、日本は東京だけでなく、地方にも美しいところがたくさんあると知ったので、各地域の独自の風景等を楽しみたいです。
他にも、ハイバーチュン高校の後輩に日本語学習や日本への留学について経験を伝えたり、何かサポートしてあげたりしたいと思っています。私も参加した「アジア高校生架け橋プロジェクト」に後輩が応募する際に、サポートできたときは嬉しかったですね。