語学が万能ではなくても、積極的にコミュニケーションをとれば気持ちが伝わるんです。
―髙木さんは「異文化に身を置く暮らしがしたい」と、琉球大学に進学。卒業後もそのまま沖縄に住み、観光業に就いたそうですね。
髙木:そうなんです。山口県の高校を卒業後、琉球大学へ進みました。在学中に沖縄の観光業に携わりたいという気持ちが生まれ、海外のお客さまをたくさん迎える沖縄のリゾートホテルに就職しました。ホテルでは英語を使う機会も多くてとても楽しかったです。
―英語を話すのは得意なんですね。その語学力はどこで身につけたのでしょう?
髙木:高校が英語科だったので、常に英語で行われている授業がありました。国際交流活動も盛んで、異文化を感じる機会はとても多かったです。海外留学や英会話学校に通わなくても多くを学べる環境でした。
―学校の授業だけでも英語を話せるようになるんですね。
髙木:高校の英語の成績はずっと良かったです。だけど、自分の中でシャイな面があって、授業中にうまく話せたとしても、普段の会話がスムーズにできるとは限らないんですよね。同じクラスにはイギリスやタイから来た留学生がいたんですが、思うようにコミュニケーションをとることができませんでした。海外にとても興味があったので、積極的に会話をしていきたいのに、どう接したらいいのかがわからない。留学生とのコミュニケーションという点では、高校時代は消化不良なところがありました。
―そんな髙木さんが英語に自信を持てるようになったのは、どんなきっかけがあるのでしょうか?
髙木:やっぱり大学時代にいろんな国の人と接したからだと思います。たとえば、ドイツから来た日本アニメが好きだという女の子は日本語もとても上手。まったく物怖じすることなく、すっかり日本の文化にとけこむ姿を見て、刺激を受けました。他には、中国人留学生の家に招いてもらって、餃子作りを教わったり。そうした体験の積み重ねがあって、自分の中で「英語=異文化=違う世界の人」だと思いこんでいたのが、みんな同じ人間なんだとわかってきたんです。ただ話している言語が違うだけ、何を怖気づく必要があるんだって気持ちになりましたね。
―みんな同じ人間だと思い切ることができたら心強いですね。どんな言葉を話しているかは、実はコミュニケーションの第一条件ではなかったと。
髙木:そうなんです。だから、私が自信なさそうに英語を話したとしても、何のメリットもない。伝えようとする気持ちが大事だってことですね。餃子作りを教えてくれた中国の留学生も、たどたどしいながらも懸命に日本語で話しかけてくれて、それだけで気持ちが伝わってきました。単純なんですけど、国境や言語とかってあまり関係ないなと思うようになりました。
海外経験の少ない私には、しっかりサポートされた日本語パートナーズが合うなと思いました。
―英語を話すのに自信が出てきて、海外からの観光客も少なくないリゾートホテルに就職。そこから、日本語パートナーズに応募された理由は何かありますか。
髙木:実は、日本語パートナーズのことを知るよりも前にホテルを退職しました。就職前に思い描いていたように、英語を活かせる職場でとても楽しかったんですけど、ホテルのお客さまと接するのはどうしても短い時間しかないんです。もともと私は異文化の中に身をおいて、そこに深く関わって生活したいという思いがあったことをホテルの仕事を通して再認識することになりました。
―ホテルの中だけでは物足りなくなってきたんですね。そして、先のことは何も決めないでホテルを退職してしまった。
髙木:そうです。このままではいけないと思い立って、ばしっと辞めました。ひとまず、山口の実家に帰って実家のお好み焼き屋を手伝いながら、英語の勉強を続けていましたね。その頃に考えていたのは、海外支店がある日本企業で働くか、海外へ飛びこんでしまって、現地の企業で働かせてもらうか……。
―この頃から海外で働くことを視野に入れていたんですね。ちなみに、海外経験はどれくらいあるんでしょう?
髙木:高校の修学旅行で韓国に行ったのと、大学生の時に台湾へ友達と旅行しただけです。だから、海外企業の情報を見ることは見ていましたけど、なかなか飛びこむ勇気が出なくて。どうしようかなと思っていた時に、日本語パートナーズのことを知ったんです。見つけた瞬間に「これだ!」って思いましたね。派遣前の研修やサポートもしっかりしていますし、初めて海外へ飛び込む機会としてはちょうどいいと思ったのが本音ですね。
―派遣先の国がマレーシアであることはどのように考えましたか。
髙木:海外に飛び出そうと思って会社を辞めて情報を集め始めた頃から、マレーシアのことは念頭にありました。これからはますますアジアが熱いと感じていましたし、マレーシアは英語も広く通じる国なので、私の個性も生かせる。治安も比較的よくて、自分一人でも生きていける国じゃないだろうかということで、行き先候補の上位にマレーシアを置いて考えていました。だから、日本語パートナーズでマレーシアの派遣募集を見て、迷わず応募を決めたんです。