3月は、私の高校では中間試験期間中で、ほとんど授業がない。職員室で「折り鶴」を折っていると、「折り方を教えてほしい」と年配の先生が来る。一緒に折っていると、私も私もと、次々に周囲に先生たちが集まり、職員室は「折り紙教室」になる。
「鶴」が完成した人は、まるで幼い子が飛行機を持って遊ぶように鶴を片手に空に飛ばせる。ニコニコしながら、「私が作ったのよ」とほかの先生に言う。
「来週は『コマ』を教えてほしい。孫に作ってやって一緒に回して遊びたい」と、ある先生にお願いされた。「コマ」はちょっと難しいので、何度も何度も作る。そのうち私が言わなくても、「ここをこうしてー」と私のまねをする。出来上がった「コマ」でひとしきり少年のように遊んだ後は、大事そうに持ち帰る。
通常授業のない期間は、先生たちに日本文化を伝えることができた。