私はバンコクの南、チャオプラヤ川の河口に広がるサムットプラカーン県のラチャープラチャサマーサイ校で活動しています。生徒の日本への興味は若者らしくアニメや歌などですが、日本語を覚えて将来の仕事に生かしたいという生徒も少なくないです。生徒にとって3種類もの文字を覚え、かつ敬語表現が加わるということの大変さは、私たち日本人でも想像に難くありません。興味をもって日本語を学ぼうと選択した生徒の熱意に精一杯応えたいと奮闘しています。
私の大事な活動の一つに日本文化紹介というのがあります。ここでは、日本の茶道体験の様子を紹介したいと思います。
1. 日本語クラブの生徒対象
抹茶はタイでもデザートや飲み物に使われていて人気があります。まず、抹茶の色や香り、粒子の細かさを確かめてもらいます。生徒が一番びっくりしたのは香りです。「いい香り」と感じる生徒が大多数です。タイの人がよいとする香りの評価は日本人に似ているのかもしれません。茶杓や茶筅に興味津々の生徒が、「早く!早く!」と味を知りたい期待感でいっぱいになります。飲む前の静まり返っていた教室が、飲んだ後は「にがい!」とざわめき、「それで、先に甘い菓子をたべるんだ。わかった。」と納得しているのがかわいいです。お替りをしたい生徒はいないかと思いきや、何人かの生徒が「おいしい」とお替りをし始めます。味覚でもタイと日本とは似ているのかもしれません。
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2. 語学の先生対象
クラブの生徒希望者数人を集め、放課後に「にわか茶道教室」を開設して、「お茶の歴史」の学習と「お点前」の特訓をしました。生徒は楽しそうに頑張りました。本番では、「お茶のいただき方」を先生方に説明するのもお点前をするのも生徒にしてもらいました。ほんのさわりだけでしたが、参加した先生方に生徒が外国の文化を理解するのはとてもいいことだと言っていただいたときは、やってよかったと感動しました。
お茶のいただき方を先生方に笑顔で一生懸命教える高校1年生。
先生方も楽しんで茶碗の持ち方を!
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正座も上手にできました。