ラーシニーブラナ学校(女子校)学園祭での茶道体験支援のため、8月にバンコクからナコンパトム県を訪れました。
私を驚かせたのは、校庭に女生徒だけで作った茶室(ネットで調べて、前日も夜遅くまでかけて、建築整備されたもの)があったことです。
丸窓、床の間、花、茶庭(灯篭、庭石、植栽)などが設えてありました。単にお茶を飲むだけでなく、茶室空間にまで心が配られているなど、生徒たちの雰囲気作りは最高で、それを女生徒だけで完成させたと聞けば、その並々ならぬエネルギーと心意気に圧倒されてしまいます。なぜか、掛け軸を掛ける床の間に、歌麿の「ビードロを吹く娘」が掛けられていました。
茶道体験支援に当たって、心がけたのは、挨拶することの大切さと、一碗を戴く際に感謝の気持ちを持ってほしい、そして叶うなら、お茶を嫌いにならないでほしい、でした。
最初に席入りしてくれたのは、茶室を作った日本語専攻の二人の生徒で、私の説明を一言漏らさず聞き、体験してくれました。
その後、二人は、ほんの僅かな体験しかしていないはずなのに、私の代わりに、お茶を飲む際の挨拶の仕方や、「お茶碗はこうして回して」などといったお茶の戴き方を、お客さんに教えてくれていました。
お客さんとして席入りしてくれ、美味しそうに飲み干してくれた生徒、一口飲んだだけで遠慮した生徒、「もう一杯」とお替わりをした生徒もいました。
暑い中で、時として流れる涼風を感じながら、ほんのわずかな時間でしたが、生徒とともに、一座建立の時間を楽しむことができました。
「一碗のお茶に生徒たちはどんなことを感じとってくれたのかな?」、「ほろ苦い茶道体験だったのかな?」と思いながら、生徒の取組が何か心地よく、その雰囲気の素晴らしさの余韻に浸って、帰路についた私でした。