Apa kabar(お元気ですか)? 赴任して3ヶ月、学校生活にも慣れましたが、この“慣れ”は良いことばかりではないですね。今回はその“慣れ”が引き起こした、反省しつつも印象に残った授業について紹介したいと思います。
私の派遣校ではインドネシア教育大学の教育実習生を受け入れています。授業はCP(カウンターパート)の先生、実習生と私の3人で行います。実習生が作成した教案でCPと実習生が授業を行い、私はオブザーバーとして参画していたのですが、次第に受身になっていました。ある日、いつもと同じ感覚で教室に行くと実習生がいない……。事前の確認不足を後悔しましたが、CPがどう授業展開させるか頭をフル回転させ、その必死さを生徒に見せぬようニコニコする私。
その日の学習課の読み物が、日本昔話の“うさぎとかめ”。そういえば、幼い頃祖母によく歌ってもらったなぁ。「先生、このお話の歌があるんですよ。」と言うと、「では、歌ってください!」と突然の振り。恥ずかしさを感じる余裕もなく皆の前で歌いました。「もしもしかめよ~。かめさんよ~」
簡単な歌詞と分かりやすいメロディーで、一度で生徒たちは覚えてしまいました。歌が気に入ったのか何度もアンコール。喉がカラカラになりながらも歌い続け、その日のクラスを無事終えました。
その後クラスで書道を紹介した時のことです。「好きな字を書いてください。何を書きますか?」「かめ!!」の一斉の声に思わず吹き出してしまいましたが、歌いながら“かめ”を練習する生徒たち。丸みを帯びる“め”が難しそうでしたが、なんとか清書し終わり、皆満足そうです。
数日後、歩きながらふとその教室を見るとドアに“かめ”の文字が。今でも前を歩く度にクスッと吹き出してしまいます。
NP(日本語パートナーズ)としての活動も折り返し地点。今回は結果的に楽しい授業となりましたが、初心を忘れず、残りの期間を大切に活動していきたいと気づかせてくれた経験でした。