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台北

もうすぐ台北の街ともお別れ。
「玲子さん、一度台湾に行って来たら!」と言う勧めにのって、初めて台湾に来たのは、2017年の7月。田舎暮らしの私にとって台北は大都会。そして、平成と昭和、日本と台湾を行ったり来たりする不思議な街であった。でも、台北の街は私の第二の故郷となったのである。

私の大好きな街、迪化街。寿司桶を探しに行って、書道教室を見つけた。言葉が通じない私のために、次々と日本語が話せる人たちが街の中から現れた。携帯の向こうからレッスンを見守り、先生の話を通訳してくださる方も。そこの温かさに浸かってしまった。毎週土曜日の朝、レッスンに行き、昼ごはんを食べて、ぶらぶらするのが日課となった。学校の緊張感から解放された街でもある。歴史を紐解く本屋さん。そしてアマミュージアムは今も続く戦争の足跡を見つけたところ。深い場所。 そしてその寿司桶は大活躍。

私の住む街、雙連。朝市で賑わう。見たことのない果物。蓮霧、釈迦。冷凍ではないライチ。大きな楕円形の西瓜。大根餅。粽。蟹のから揚げ。どれも美味しい。買ったら近くの広場で青空朝食。ギックリ腰になったら駆け込む整体。脚の疲れは足裏マッサージ。日本食が懐かしくなったらコロッケ定食の美味しいお店。「さびしくなったらおいで、私が話し相手になろう」のごとくの劉さん。

「友愛会」「台湾歌壇の会」の月例会が開かれるのは中山の国王大飯店。日治時代の話を聞く。美しい日本語に出会える場所。中山地下街は長い本屋さんがある。大好きな絵本がたくさん。長椅子があるから大丈夫。ゆったり時間が流れる。素敵な絵のあるカフェ。
そして古い歴史と伝統のある中山女子高級中学。私の仕事場がある逸仙樓。悩んだ場所。笑った場所。出会った場所。出発点。終着点。

台湾の風は心地よい。日常の沈殿を吹き飛ばしてくれる。今日も朝から屋台が出る。バイクが走る。

Writer
台湾 台北
大城戸 玲子さん

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