9月は学校が夏休みのため授業がなく、教材や練習問題、来月行う「組紐ワークショップ」の資料を作成しています。この機会に週末を利用して普通のツアーでは行かない所に行ってみました。
始めに、日本人墓地公園へ。日本人墓地は、1891年に商人二木多賀治郎がお墓もなく埋葬されていた日本人のために所有していたゴム林を提供したことに始まるそうです。熱帯の緑の木々や花々の中に墓標が整然と並んでいて、江戸時代の漂流民で日本人として初めて定住した山本音吉やインド洋上で客死した二葉亭四迷の墓もありました。とりわけ過酷な暮らしの中で亡くなられた「からゆき」さん達の小さなお墓には胸が痛みました。戦後荒廃した墓地は当地の日本人会の手で再び整備され、明治以来の900以上の墓標とともに第2次世界大戦で亡くなられた数千もの方々の墓碑も建てられました。静かな墓地で碑文を読むうち、この地で懸命に生きた日本人達の思いが深々と伝わってきました。
次に行ったのは、旧フォード工場。1942年に日本軍とイギリス軍による会談が行われた部屋が残されていました。この後イギリス軍は撤退、日本軍による占領が始まり、シンガポールは昭南島と呼ばれました。日本軍への抵抗や独立に至る記録も展示され、日本人として胸が痛みましたが、アジアと日本の将来のために目を背けないで見学しました。
9月の最後の週末は、趣を変えて「シンガポールの最後の秘境」といわれるウビン島に。ジョホール海峡に浮かぶ10.2㎢の小さな島で12人乗りのボートで10分。人口は100人弱で高層ビルは一切なく、かつての村(カンポン)を偲ばせる風景が広がります。熱帯の野生動植物が大切に保存されるこの島でサイクリングを楽しみ、久しぶりにリフレッシュできました。シンガポールの街中にもナイトサファリや動物園がありますが、自然がそのまま残る「シンガポールの田舎」ウビン島が断然お薦めです。