ブルネイに着任して真っ先に向かったのが合気道の道場でした。しかしそこで目にしたものは競技人口の急減に歯止めをかけられず、風前の灯となっている姿でした。10年前には300人いたらしいのですが、今は片手で数えられます。
私は入門者を募るため、ブルネイ大学の剣道部員を勧誘してみたり、ブルネイの伝統武術シラットを習い始めて、あわよくば彼らに合気道を紹介する機会を伺ったりと、いろいろやってみたのですが上手く行きません。武道好きは格好のターゲットだと考えたのがそもそもの間違いだったようです。彼らはすでに剣道やシラットという最良のパートナーを見つけてゾッコン。私は浮気をそそのかして撃沈しただけのようでした。
そうこうしているうちに、着任時には2道場あったものが、とうとう1道場を残すだけとなってしまいました。
こんな窮状を訴えていると、派遣校のIBTE(教育省ブルネイ技術教育インスティテュート生涯学習・訓練課)から合気道普及のチャンスを頂くことができました。IBTEは国営の専門学校で、ブルネイ全土に7つの校舎があります。目下、学生達に、合気道のデモンストレーション行脚を行なっているところです。
合気道デモンストレーションのポスター
(1)先ずはプレゼンテーション
(2)次にデモンストレーション。
短刀や木剣を奪う武器取りが人気でした。
(3)最後にレッツ・トライ
並んで一緒にやってみました
やっつけた後は「ゴメンね!」
驚いたことに、どの校舎でも参加者の多くは女性でした。彼女らには、まだ武道のパートナーはいないようです。力に頼らない合気道は女性にぴったり。幸い、ただ一箇所となったGemilang道場には女性の指導者もいます、異性同士での組手がタブーとされるブルネイでも練習相手に困ることはありませんね。
関心を持った学生が、一人でも二人でも道場に足を運んでくれることを心から願っています。