台湾には政府に認定された16の少数民族が暮らしており、なかでも花蓮に多いアミ族は最も人口が多い少数民族です。派遣期間中、地理の先生に誘っていただき、15人の生徒と一緒に花蓮県の光復という場所にある太巴塱部落(タパロン集落)のアミ族を訪ねました。アミ族の知恵を学ぶ、とても貴重な1泊2日の小旅行です。
車道があるところまではトラックで行き、さらに歩いて川を渡り、草木を掻き分けながら山の奥の方へ入っていくと、私たちが今回寝泊まりする場所に到着。この2日間は主に3名のアミ族のお兄さん方に多くのことを教わりました。
水道も電気もガスも通っていない場所での生活体験だったので、食事をつくるときは木を切って火を起こし、箸やお碗の代わりになるものを竹や硬くて丈夫な葉でつくり、近くの川で皿や鍋を洗いました。夜は、大きな葉っぱをマットレス 代わりにして寝袋で過ごしました。また、木の板や葉で作る狩猟用の罠作りを実演してもらったり、夜中真っ暗な中をさらに山奥へ進んでどんな野生動物が住んでいるのか観察しに出かけたりもしました。
お兄さん方が鳥や虫の鳴き声の微妙な変化を聞き取って時刻や天気の状況を予測していたり、常に細かいところにも注意深く慎重な態度でいたことが、いつも危険と隣り合わせの山での生活では必要なことなのだと学びました。「山の中では絶対に走ってはいけない」と何度も言われたこと、私も忘れません。
私たちが体験したそのままの生活を今も続けているアミ族の方はほとんどいないそうですが、いつでも山の中で生活できるような伝統的な生活の知恵を若い人へと受け継いでいます。花蓮高校には、そういった次の世代を任された様々な少数民族出身の生徒たちが多くいます。夏には豐年祭と呼ばれる収穫祭が各地で行われるのですが、私も参加する予定です。花蓮に来て、たくさんのすばらしい文化に出会えたことに、本当に感謝しています。