私が台湾に派遣されている“日本語パートナーズ”(NP)だからこそ担える役割の一つは、日本の「実態」を伝えることだと考えます。その理由として、台湾では日本文化が人々の生活の中に広く浸透している一方で、その文化とは模範的なものにも偏り得るという現状が挙げられます。
例えば、首都である台北のみならず、郊外においても、スーパーやコンビニなど街の至る所で日本製品が幅広く販売されています。
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また、日本のアニメや漫画が絶大な人気を博しているのは勿論、複数のテレビチャンネルで日本の番組が放送されており、日本語の学習経験がなくとも「日本」は極めて身近な存在です。
しかし、台湾国内で日本に触れる頻度の高さは、必ずしも日本人と接する機会が豊富だということを意味するわけではありません。日本文化に精通しているように見える人ほど、実は日本の人々の日常を知らないということが多々あります。

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つまり、アニメや書籍で得た知識から日本に対する概念が既にできあがっているうえ、短期の旅行でも日本人の生活を完全に知り得ることは難しく、文化が理想化されている面が大きいと感じています。
以上のことから、日々の活動では、多様性を伝えることに留意しています。例えば、「日本の朝食」とは和食なのでしょうか。「日本通」の先生から、「日本人の朝食は白飯に焼き魚、味噌汁でしょう?」と聞かれましたが、実際にはパンやシリアル、コーヒー等で簡単に済ませる人も一定数いるうえ、朝食をとらない人も少なくありません。この事実自体も、日本文化の一つです。そのため、毎月文化紹介のために掲示している壁新聞のうち一枚を「REAL JAPAN」と題し、日本の日常を私の目線で伝えています。

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このような文化紹介が、派遣校の人々に意外性を持って受け止められているのが実に面白く、作り甲斐があると感じています。