派遣期間:2016年8月~2017年3月
私がインドネシアに派遣されてから早4年が経ちますが、今なお連絡を取る「アグン」という生徒がいます。彼の第一印象は「才能豊かで元気な人懐っこい少年」でした。当初、アグンはドイツ語専攻で、またタイ語も自学していました。そんな彼は、私の派遣を機に日本に深い興味を持ち、当時まだ創立されたばかりの日本語クラブで中心的に活動する生徒の一人になりました。日本語に関する知識ゼロで始めた彼は、私の帰国時にはひらがなカタカナ漢字を使った手紙をくれるほど、日本語にのめり込んでくれました。また、彼は私を兄のように慕ってくれ、私もまた彼のことを弟のように思っていました。
そんなインドネシアの『弟』は今、地元のマラン独立大学で観光学を専攻する大学生となりました。高校時代にのめり込んだ日本語をさらに深めたいと思い、大学でも日本語を履修し、「みんなの日本語」を買って独学するなど、継続的に日本語学習をしているようです。また、観光学を学ぶことからもわかるように、「世界中を旅したい」と夢も語ってくれます。特に彼が独学で身に付けた言語を生かして、タイとそして日本に行ってみたいと話してくれました。
私個人として嬉しいと感じる点は、彼がしきりに「SSEAYPに参加することが僕の夢」と話すことです。これは日本の内閣府国際交流事業『東南アジア青年の船』の略称で、私自身が日本語パートナーズ(NP)から帰国した年に参加したものです。私が「青年の船」事業に参加した後に再度NP派遣時の派遣先校を訪れ、この事業を紹介したときのことをアグンは覚えていて、自分も参加したいと思ってくれているようです。
彼は、自分の決めた道で、持ち味の類稀な才能と深い興味・関心に従って、今なお努力を続けています。私に限らない多くの力量とやる気に溢れたほかのNPたちとの交流を通じて、自分自身が変わったと語る彼の存在を、また私と同じ体験を望む『弟』の存在を、私自身も非常に嬉しく思います。そして、そんな頼もしい彼の活躍をこれからも日本から応援していきたいと思います。