Om Swastyastu.(オム・スアスティアストゥ/バリ語の最上級挨拶)
バリ州デンパサール市に派遣されていた、玉置華子です。
18期は今月が最終投稿となりますので、学校の授業風景を振り返りたいと思います。
1.パワーポイントと、百均で購入していたおもちゃのお金を使って、「日本のお金」を紹介しました。
どんな種類があって、どんな人物が描かれているかなどの説明をし、支払いの体験もしました。例えば、「おにぎりは、110円です。分かったチームは、私に見せてください。」と、問題を出します。練習をし、最後に「全部で、18,666円です。」と問題を出すと、やはり少し難しかったようです。私が問題を分解して「1万は、yang mana(どれ)?」「8千は、yang mana(どれ)?」……と確認し始めると、「分かった!」「はい!はい!」と楽しんでくれるようになりました。「これでもう、皆さんは日本で買い物が出来ますね!」と伝えました。
おもちゃの紙幣と硬貨を使って
2.教科書で、「身につけているものを説明する」という単元を勉強しました。
「私は、ズボンを履いています」「母は、眼鏡を掛けています」などです。インドネシアでは通学の服装が、先生方も含め、曜日によって決まっています。制服も複数種類があり、伝統衣装を着る日もあります。生徒たちが文章を考えている間、私は机間巡視をしていました。その際に生徒から「バリの伝統衣装であるウダンなら、何と言いますか?」と質問を受けたので、「“しています”も使えるけれど、頭に載せるから“かぶっています”もOKだね」のように、生徒と一緒に考えました。
ちなみにこの日の私で言うと、「私は、クバヤ(バリの伝統衣装)を着ています」
(手前左の)「彼は、ウダンをかぶっています」
3.日本語クラブで書道体験をしました。
事前に好きな言葉や目標を、日本語に訳してきてもらいました。「なぜ、書くのか?」 心理学の分野で“宣言効果”と言われるように、「可視化することで、毎日脳が意識して、行動に移しやすくすると言われている」と伝えました。生徒の書には、「将来」「幸せ」「優しい」などの言葉がありました。私は書道の段を持っている訳ではないですが、「日本で長く育ったからこそ、紹介できること」という意味では、日本語パートナーズが出来ることの幅はもっと広がるのではないでしょうか。
私が書くのを見守る“静寂の時間”
4.12年生(高校3年生)と、遠足に行きました。「遠足」と言うよりは、「巡業」と言ってもいいかもしれません。
バリ・ヒンドゥー教の総本山である「ブサキ寺院」をお参りすることが、重要なことなのです。総本山に向かう前に、「バトゥール寺院」という寺院で「お祈り」と「お清め」をします。
その光景に目を奪われると共に、私も一緒に座って目を瞑っていると、心が穏やかになっていくのを感じました。
普段は賑やかであどけない顔を見せる生徒たちも、この日はみな凛々しく、かっこ良かったです。
バトゥール寺院
ブサキ寺院
着任当初は、「異文化理解」という言葉を理解しているつもりでいました。しかし経験したことのない場面や環境に遭遇することは、頭で理解していても、実は消化できずに体調に現れることがありました。これまた不思議なもので、そんなことがあっても毎回、教室に入るとスイッチが入りました。後にこの感覚は「目の前にいる生徒たちにとって、“今”は、かけがえのない時間なんだよな。だから、真摯に“今”に向き合いたいと思えたからだ」と気付きました。“異文化理解”という面での学びは、“染まる”や“我慢”ではなく、「予定通りに進まなくても、今日の自分は、自分が作っていくんだ」「“本当は自分が、どうしたいのか?”という気持ちを、ないがしろにしてはいけない」と気付いたことです。
このようなチャンスに参加させていただいたことに、感謝します。
Om, Shanti, Shanti, Shanti,om.(オム・シャンティ・シャンティ・シャンティ・オム/心に平穏あれ)