日本語パートナーズ短期派遣事業は、派遣先ごとに異なるニーズに対応するため、地域・対象者等を限定したうえで募集を行っており、派遣先とつながりのある地域等の協力を得て実施しています。
今回のカンボジア短期(4期)では、徳島県国際交流協会(TOPIA)と連携して、同協会の職員を含めた5名1グループを派遣し、首都プノンペン等の大学2校、中等高等学校1校、小学校1校で日本語を学ぶ生徒たち等との交流を深めました。
日本語パートナーズカンボジア短期(4期)
木村純子、小林真子、野水祥子、元木佳江、吉本聖
みなさん、スオスダイ!(カンボジア語で「こんにちは」)
私たちは、2023年6月13日から22日までの10日間、首都プノンペンをはじめ、地方都市のプレイベンやコンポントムの各教育機関(大学2校、中等高等学校1校、小学校1校)を訪問し、日本文化紹介をしました。
阿波おどりをメインに徳島県の魅力を紹介
今回の短期派遣で特に意識した点は、各教育機関の日本語レベルに合わせて活動内容を工夫することです。そのうえで、私たちだからこそできる「徳島県らしさ」を出すため、すべての派遣先で徳島県の場所や魅力を紹介し、阿波おどりを通して日本のお祭りを体験してもらう活動をしました。
小さな子どもたちと一緒に阿波おどり(アツ小学校にて)
具体的には、日本語学科のある大学では、“おしゃべり屋台”と称し「食べ物」「観光」「まつり」「自然」「四国遍路」の5つのトピックでお店(グループ)を作り、対話交流活動をおこないました。
日本語を学び始めたレベルの教育機関では、徳島名物の半田そうめんを紹介して、日本の流しそうめん体験もできる『半田そうめんづくり』、好きな日本語を書いたり、シールや折り紙でデコレーションをしたりして阿波おどりで使える『オリジナルうちわづくり』など、学生たちが日本語を理解して楽しめる活動内容を考えました。
徳島県の魅力を紹介するおしゃべり屋台の様子(王立プノンペン大学にて)
学生たちと記念撮影(王立プノンペン大学にて)
ワンチームで乗り越えた壁
カンボジアでは、学校教育以外の場で日本語を学習する人が多いです。そのため、今回派遣された学校でも、学生の学習意欲によって日本語レベルが異なり、うまく伝わらないもどかしさもありました。それでも、やさしい日本語で話すことを意識し、相手の目を見て笑顔で接した結果、学生たちは私たちに興味を示し、阿波おどりなどの日本の文化体験を楽しんでくれました。
また、どれだけ準備をしていても、学校やスケジュールの都合上、不測の事態が発生することもありました。その際は、焦らずに文化紹介の順番を入れ替えたり、前日の夜に集まって準備をしたりと、チームのみんなで柔軟に対処しました。国際交流協会や大学等、メンバーの従事する仕事や場所は違っても、それぞれが今まで培ってきた異文化適応力、コミュニケーション能力、日本語支援の経験をワンチームで協力して発揮することができた瞬間でもありました。まさに一致団結して、一人ひとりが責任を持って行動したからこそ、乗り越えられた壁だと思います。
竹の代わりにペットボトルを使って流しそうめん体験(王立法律経済大学にて)
熱い想いが大きな力になる
派遣中、最も印象に残ったことは、プレイベン州のプレイベン友好学園で伺った学校創設者のお話です。内戦で生死にかかわる壮絶な体験をしてもなお、母国カンボジアのために、学校教育の重要性を説き、日本の援助を受けながらいくつもの学校を建てられた話は、深く感動しました。
決してあきらめなかった熱い想いが、周囲の人々を動かしたのだと思います。
同時に、学校創設をサポートした先人の日本人に、あらためて尊敬の念を抱きました。
エネルギーに満ちあふれた国・カンボジア
凄惨な歴史があったカンボジアですが、現在は若い人を中心に、とても活気のあるエネルギーに満ちあふれた国です。特に首都プノンペンは、QRコード決済がかなり普及していて驚きました。また、各地で建設工事が進められ、急速に発展している様子が見られました。
ぜひ、みなさんもカンボジアに行って、現地の勢いを肌で感じてみてください。
開発が進むプノンペン市内の様子
「多文化共生社会」の実現に向けて私たちができること
現在、新型コロナウイルス感染症による国内の入国規制が緩和され、多くの外国人が日本を訪れています。なかでも、留学や就労を目的として中長期的に日本に在住する外国人は、定住者を含めて300万人を超え、過去最高を更新しています。
今後ますます外国人と接する機会が増え、お互いの文化や習慣を理解し認めあう「多文化共生社会」の実現が求められるでしょう。
私たちとしても、今回の日本語パートナーズの経験を活かして、引き続き外国人と日本人のそれぞれが住みやすい環境づくりをサポートしていきます。そして、メンバー一人ひとりがカンボジアの魅力を国内で発信しながら、日本とカンボジア両国のファンを増やしていきたいと思います。