こんにちは。
タイのノーンブアランプー県ナークラーン郡で活動中の浅見です。
前回に引き続き、お菓子作り体験のお話です。
カウ・トム・マットの次の日は、派遣先校の英語の先生のお宅でカノム・ティエン作りを体験しました。ティエンはろうそくという意味で、お菓子の三角錐の形が、ろうそくの炎に似ていることに由来しているようです。カノム・ティエンは、白玉粉に上新粉を混ぜた求肥の中に、ココナツフレーク、茹でた大豆、ごま、砂糖を煎って作った餡を入れ、それをバナナの葉で包んで蒸したお菓子です。
この日は、ココナツの実を農家の人にわけてもらうところから始まりました。お菓子作りに使うココナツは若過ぎても熟し過ぎていてもダメということで、ちょうど良さそうなココナツの木を選んで、長い竹の先に鎌をつけたような道具で刈り落としてもらいました。
最初に取り掛かったのは、ココナツの外殻を割って、中の実を取り出す作業です。大きなハサミのような道具を殻の横腹に突き刺すのにはコツと力が要りますが、うまくいった時は、なんとも言えない「達成感」を味わえます。この日、ほとんどの殻割りは高校生の息子さんが手早くやってくれましたが、私もモタモタしながら1個だけ割らせてもらいました。たったこれだけのことですが、なんとなく「誇り」に思えるのが不思議です。
ココナツの外殻割りはコツと力が要ります
次に、実にヒビを入れて中のジュースを取り分けた後、半分に割ります。この作業は、ココナツを手に乗せて、もう一方の手で鉈(なた)のような大きくて重い刃物を使って行うのですが、見るからに危なく、とても素人が手を出せるものではありません。この作業は先生のお母さんが担当されて、熟練技で次々に割っていかれました。割ったココナツの中の白い果肉部分をこそげ取り、ココナツフレークを作ります。これに茹でた大豆、砂糖、ごまを混ぜて、火にかけて煎り、サクサクした餡を作ります。白玉粉と上新粉を練って作った求肥に餡を入れ、バナナの葉で包み三角錐の形に折ったものを、30分くらい蒸して出来上がりです。ほどよい甘みの、モチモチ・サクサクした歯触りがおもしろい、素朴で美味しいお菓子です。
カノム・ティエンを包むときはバナナの葉にサラダ油を塗ります
三宝節の朝、お寺に出かけ、カノム・ティエンと前日に作ったカウ・トム・マット、カウ・トム・パットの3種類のお菓子をお供えしました。
現地の人たちの日常生活に入れてもらい、ゆっくりした時間とホスピタリティーに包まれながら食文化を体験させてもらいました。手作りお菓子の甘さとともに、私の大切なスイートメモリーとなりました。