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現実とのギャップを往来できる突破力〜日常生活と学校行事

タイのノーンブアランプー県ナークラーン郡に派遣されております浅見です。
今日は、生徒たちの日常生活と学校行事を通じて、私が肌で感じた彼らの「突破力」についてお伝えしたいと思います。

私の派遣校では、LGBTQ+の権利に関する表立ったキャンペーンはありませんが、化粧や服装で自然に自己表現をしている生徒や先生たちがかなりいます。全体の空気感としては、そのことをわざわざ気に留める方がおかしいと思うくらい、本当に自然に言葉を交わし、普通に友達付き合いをしているように見えます。しかし、校則としては、一応男子生徒は半ズボン着用ということになっており、たまに行われる服装チェックで注意された場合には生徒は「わかりました〜」と返事をします。そして少し経つとまたいつの間にか、自分の性自認に一致する装いに戻しています。

そんなふうに、現実と折り合いをつけている生徒たちですが、学校行事の際にはパワフルな自己表現でみんなを魅了します。8月30日に開催された「タイ語の日〜スントーン・プーを記念して」のイベントでは、生徒たちはタイ文学の登場人物の装いでステージに立ち、観客が座っているフロアの花道を華麗に堂々と歩きました。

「タイ語の日」文学登場人物仮装コンテスト

コンテストは美しさ、独創性の他、タイ語の質問に答える能力も審査されます。質問のレベルはかなり高度で、例えば、「タイ文学で最も好きな作品とその理由を述べよ」とか「タイ語と国語の違いを説明し、それに関する自分の意見を述べよ」とか「若者ことばについて、自分の考えを述べよ」などの問いが与えられた後、1分くらいで考えをまとめて答えなければなりません。それはもう圧巻でした。何時間もかけたであろうお化粧とお金がかかっているであろうキラキラの貸衣装と、ドキドキしながらも質問に大きな声で堂々と答える姿に、私は本当に圧倒されました。そこにあるのは「これが私!」という真正面からの表現でした。

「突破力」というと、何か困難や問題を解決したりする力を連想しますが、毎日、生徒たちを見ているうちに、私はそれとは別の新しい「突破力」を発見しました。つまりそれは、矛盾だらけの現実社会に散らばっている「建前と本音」「嘘と真実」のギャップに足を取られず、自由に行ったり来たりする力とでも言いましょうか、矛盾のギャップを往来できる力のようなものだと私は感じています。そして、このような「突破力」を獲得しているタイの生徒たちを本当にたくましく、また羨ましくも思いました。また、この「突破力」は「瞬発力」も含んでいるように思います。中学部門の決勝で答えに窮した生徒が「その質問は今の自分には難しすぎて答えられませんが、来年また決勝に出ますから、その時またその質問をしてください」と答えました。会場は笑いの渦。なんという「瞬発力」でしょう!

生徒たちのコンテストの審査がなされている間、先生による仮装コンテストもありました。私は先生と一緒に、ナーン・ヤック(鬼女)になりました。別の先生が鬼の顔のメイクアップをしてくれました。初めは気恥ずかしかったのですが、生徒たちに触発され、自分の中の「鬼」を表して、パリコレのスーパーモデルのように肩を揺らして花道を歩いてみたところ、教師部門の仮装大賞に選ばれました。還暦を過ぎた私がタイの生徒に励まされて出した「突破力」の成果でした。

同僚と一緒に「鬼女」3人。緑鬼が著者。
Writer
タイ ノーンブアランプー県
浅見 能美さん

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