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経験者に聞く

タイでの交流が教えてくれた「ありのままの自分」でいることの心地よさ - タイ2期 木村麻貴さんインタビュー

タイ
木村 麻貴さん

生徒とより深い関係を築くために、現地の言語や文化を積極的に吸収

――生徒と交流を深めるために工夫したことがあれば聞かせてください。

木村:各学年の最初の授業で、生徒一人ひとりに日本の名前を贈りました。授業では各自にネームカードを首から下げてもらって。授業内外にかかわらず、普段から日本の名前で呼びかけるようにしていました。それにしても、400名の名前を考えること以上に、生徒の顔と名前を一致させるのが大変でしたね(笑)。

――生徒との距離がずいぶん縮まったでしょうね。

木村:私、派遣された学校では生徒一人ひとりとしっかり一対一の関係を築くことを大事にしたいと思っていたんです。だから、授業開始のあいさつ時には必ず全員と目を合わせるようにして、授業中もできるだけ一人ひとりとコミュニケーションを取ることを心がけていました。中学生の中には反抗期の生徒もいて、授業に出席しても後ろの席で寝ていたりするんです。そういう生徒にもそばまで行って言葉をかけ、校内で見かけた時もあいさつを欠かさないようにしていました。彼らには何度もプイッとそっぽを向かれましたけど、見て見ぬふりをしていたのでは相手の心は開けないと感じ、とにかく自分からアプローチし続けようと思ったんです。

――生徒から反応が返ってこなくて、めげたことはなかったですか?

木村:へこんだ時もありました。でもあきらめずに声をかけ続けていたら、少しずつ心を開いてくれて。気がつくと反抗的だった生徒が授業で必ず一番前の席に座り、発言までしてくれるようになっていたんです。初めはプイッとしていた子も、授業以外でも照れながら私にちょっかいを出してくるようになって、私が帰国する際には、駆け寄って来て涙を流しながら「ずっとここにいてください」と言ってくれました。心の底から嬉しかったです。 

 しかも帰国後に、反抗的だった生徒が頻繁にSNSでメッセージを送ってきてくれて。「え? この子が!?」と驚いたと同時に、愛おしい気持ちでいっぱいになりました。

木村さんが生徒に贈ったメッセージカードの写真
最後となる日、生徒一人ひとりに写真とメッセージを込めた漢字一字を贈った 

――木村さんの思いが生徒の心に届いたんですね。やはり、自分から歩み寄ることが大切。

木村:そう思います。私がもう一つ感じたのは、生徒とより深い関係を築くためには現地語を学ぶ努力が必要だということですね。ノーンブアランプー県の人たちは、基本的には方言のイサーン語を話します。現地ではイサーン語とタイ語のどちらかしか通じませんから、常に辞書を持ち歩き、わからない単語はすぐに調べるようにして。イサーン語はタイ語とまったく違うので覚えるのに苦労しましたが、生徒たちの中にどんどん入り込んでいこうと思って、なるべくイサーン語で声をかけるようにしていました。彼らは私がイサーン語を話すととても喜びます。現地の言語や文化を積極的に知ろうとする私を見て、「先生も私たちを理解しようと頑張っているんだから、自分たちも日本語の勉強を頑張ろう」と感じてくれたかもしれません。生徒との心のつながりを大切にしたかったから、そのための努力と挑戦は精一杯したつもりです。

インタビューを受ける木村さんの写真
 
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