コロナ禍の学生たちの力になりたい
――派遣校の学生とは今も連絡を取っていますか?
山本:はい。ミャンマーはSNSが盛んなので、よくやりとりしています。「先生、今何していますか?」と連絡が来たり、私の方からも「日本語ちゃんと勉強してる?」と聞いたり。そんな何気ない会話を楽しんでいます。
――新型コロナウイルス感染症の拡大は、ミャンマーの学生たちにも影響があるのでしょうか。
山本:今(2020年6月取材時点)、ミャンマーも新型コロナウイルス感染症の影響で、大学では授業をしていないそうです。「日本語の勉強が全然できていません」といった連絡ももらっているので、「時間を見つけて少しおしゃべりしましょうか」と話しています。
また、現地でお世話になった先生方とも連絡を取っていて、「授業を再開する際は、何かお手伝いできれば」という話もしているんです。ミャンマーはまだまだインターネットの通信状況が不安定なので、オンラインで会話の授業をするのは難しいのですが、私が録音した会話の音声を送ったりはできるので、何かしらの形で力になれたらと思っています。
日本語パートナーズの活動は、自分を見つめ直し成長できる貴重な機会
――改めて振り返ってみて、日本語パートナーズの活動でどんなことが身についたと思いますか?
山本:バックグラウンドの異なる人たちと接する時に、相手に共感したり、みんなの中間地点を見つけていく「調整力」が自然と身についたかなと思います。仕事だけでなく、生活していく上でも役に立っていると感じますね。
――それは、どのような経験から身についたのでしょうか?
山本:私が日本語パートナーズとして派遣されて感じたのは、「一人では何もできない」ということでした。日本語に興味を持ってくれる学生だったり、サポートしてくれる先生だったり、そういった方々がいるからこそ活動できるのだと思うんです。だから、先生や学生たちとの関わりをすごく大事にしていましたし、相手を思いやるコミュニケーションが身についたように思います。
――これからのお仕事などにも活かせそうですね。
山本:今後も様々なバックグラウンドの人たちと一緒に仕事をしていくことになると思うので、人とのつながりを大事にしながら、日本語パートナーズの経験を活かしていきたいと思っています。
――では、そういったスキルの他に、内面的な変化はありましたか?
山本:国際貢献や国際交流に携わりたいと、大学時代からずっと思っていたものが形になったことは、大きな自信になりました。やりたいと思っていても、日々の仕事などで何となく過ぎていってしまうことも多かったので。仕事を辞めるのは、若干レールから外れる感じがしてなかなか踏み出せなかったのですが、そこを一歩踏み出せた経験は大きかったです。今の仕事でも、何でも「じゃあやってみよう」と思えるようになったのは、自分にとって良い変化だと思います。
――山本さんのように、社会人経験を経て日本語パートナーズに参加するのは、様々な面でプラスになりそうですね。
山本:日本語パートナーズの活動中は自分と向き合うことも多いので、自分に何ができるか、何に向いているかを考える機会になります。元々描いていたキャリアとは違うものが思い浮かぶこともあるでしょうし、願っていた夢が実現することもあると思うので、とても良い時間になると思います。
――それでは最後に、日本語パートナーズの活動に興味を持っている方へメッセージをお願いします。
山本:私はたまたま教育関係の仕事に就いていましたが、日本語パートナーズの選考では教育に携わっていた経験や、教育関係の仕事に就きたいかということは問われません。なので、自分を見つめ直して、趣味だったり特技だったり、それぞれのパーソナリティを存分に活かしてもらいたいです。新しいことに挑戦したいという方にとっても良い経験になると思いますし、今後どんなキャリアを積み上げていけるかを考える良い機会になると思うので、チャンスがあればぜひチャレンジして頂きたいです。