東南アジアのお正月~前編~
「この時期にお正月の話題?」と思われるかもしれませんね。東南アジアは多民族国家なので、旧暦など、その他の暦によるそれぞれのお正月があるようです。あちらこちらで打ち上げられる花火、怖い人形を担いで踊る祭り、お正月に食べるもの、その食べ方など。今回は、インドネシアとマレーシアのお正月について紹介します!
インドネシア
竹内 真琴さん (派遣先:インドネシア 西ジャワ州)
インドネシアで体験した二つのお正月を紹介します。
一つめは、ジャワ島のお正月。 ジャカルタやブカシでは、 大晦日の夜から新年の夜明け頃まで、とにかく打ち上げ花火の嵐! モナスやタマンミニなど有名な観光地では打ち上げ花火が恒例イベントとなっていて、そこを目指す車で普段にも増してすごい渋滞が。また、各家々や仲間同士でも打ち上げ花火を競い合うように打ち上げるので、至る所で賑やかなお正月を楽しむことができます。
もう一つはバリ島のお正月です。 バリ島で使用されているサカ暦では、今年のお正月は3月21日。なんと、西暦78年を紀元とするサカ暦では、今年は1937年! この日は「ニュピ(静寂の日)」と呼ばれ、労働することや外出すること、火や電気を使うことが禁止されています。
ニュピの前日には、街中に「オゴオゴ」と呼ばれる怖い人形を担いで踊るお祭りがあり、地元の人達や海外からの観光客で大にぎわいでした。何組ものチームが「オゴオゴ」の出来映えや踊りの勇ましさを競います。最後は海まで練り歩き、海辺で人形を燃やしました。真っ暗な海辺に浮かび上がる炎と鮮やかな人形が、とっても幻想的な風景でした。
翌日の「ニュピ」は一転して、静かな静かな1日。 ニュピ当日は、労働、火や電灯の使用、外出、殺生が禁止されています。このルールは地元の人々だけでなく、海外からの観光客にも適用されるので、知らずにニュピの日に来ると大変です。「そうは言っても外出する位、簡単じゃないの?」と思われるかもしれませんが、地元の見回り当番の人達が外出している人はいないか確認し、夜になると電気を使っていないか見回りにくるという徹底ぶりでした。
夜は暗闇と周りの静けさも手伝って、なかなか怖かったです。 でも、その次の日の朝の開放感といったら最高でした! 外出禁止などのルールは翌朝6時までなので、6時を過ぎたところで徒歩数分の海辺へ。海にはほとんど人がおらず、美しい日の出をゆっくりと堪能しました。新年前日の勇壮さや賑やかさ、新年の静けさと闇、その後の自然の美しさなど、さまざまなバリの顔を知ることのできたお正月でした。
マレーシア
山口 慧さん (派遣先:マレーシア パハン州)
マレーシアは多民族国家なので、それぞれのお正月があります。こちらに来てすぐに体験したのは、「中国の旧正月」です。 今年は、2月19日から始まりました。家族が集まり、レストランで食事をします。また、中国のお菓子の詰め合わせ・みかん・そして封筒に入れたお金を渡します。お菓子は、籠に入った大きい詰め合わせから、プラスチックの入れ物に入ったものまで、様々です。みかんは、箱買いをし、その中から1~5個ずつ配ります。仲が良い人、お世話になった方には、1箱渡すこともあります。封筒には、その年の干支などが描かれており、その中にお金を入れて年下の人に渡します。日本のお年玉と違い、血縁関係でなくても渡します。実際に、私も学校の先生よりいただきました。この封筒、レストランなどで旧正月時期に食事をすると、お会計時に一緒にくれます。私も中国人と思われたようで、行く先々でいただきました。
その他に、旧正月でのみ食べる料理もあります。「イーサン」です。これはお刺身と野菜などが盛り付けられており、そこに調味料を入れます。そして、全員でその料理を混ぜます。その時に、なるべく料理が高く舞うように混ぜると、長生き・金運・幸福に恵まれると言われています。そうして混ぜた料理を皆で分けて食べます。
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バリ島の「ニュピ」の儀式は、興味深いですね。「オゴオゴ」の実物を見てみたくなります! 「ニュピ」当日はバリ島のヒンドゥー教徒だけでなく、観光客や他宗教の人々も、静かで真っ暗な一夜を過ごす……普段の生活で気付かないような風や波の音、鳥の声、星の光など自然のパワーを感じられそうです。 マレーシアでの旧正月で贈られるみかんは、日本で言うお歳暮にあたるのでしょうか。お互いにみかんを贈り合うなんてこともあるのかもしれません。お世話になった人には、贈るみかんの数を増やすというのは面白いですね(笑)