日本語パートナーズイチオシ! 現地の美食たち
私たち日本人と同じく米を主食としつつも、高温多湿な気候などの影響もあって一味違った食文化を有する東南アジアの国々。グルメ事情が気になります! 各国で活動を続ける日本語パートナーズは現地の食事を日々堪能していますが、その中でも特に「おいしい!」と思ったメニューはどんなものなのでしょうか? 早速報告を見ていきましょう。
ベトナム:ダナンの逸品グルメ「コムガー」
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佐野 俊郎さん (派遣先:ベトナム ダナン市)
「コム ガー(COM GA)」はベトナム、ダナンのチキンライスだ。
ある日、先生に「チキンライスは好きですか?」と言われた。私は、本来、ケチャップで炒めたチキンライスは甘すぎてあまり好きではなかったが、そこは、社交辞令も兼ねて「鶏肉は好きですよ」と答えた。すると、先生が「今日のランチを招待します。チキンライスを食べに行こう」と言った。
先生に案内されて5分ほど歩くと、コムガーの大きな看板のある店に着いた。店の前でお兄さんが、焼いた鶏を細かく割いて調理していた。昼食の時間なので店は混んでいたが、幸い、入り口のテーブルがあいている。先生が、コムガーを二つ頼む。コムガーは、もともとホイアン*の食べ物だという。そういえば、先生はホイアンの出身だ。 *ベトナム、ダナンの南方に位置する港町。
チキンライスが、運ばれてきた。私の想像していたチキンライスとは違う。考えてみれば当然だ。ここはベトナムだ。日本のチキンライスのわけがない。しかし、私の頭の中では赤いチキンライスを想像していた。出されたものはまったく違っていた。共通しているのは鶏肉が使われていることぐらいだ。
コムガーは、ウコンで炊いた薄い黄色のご飯の上に、香ばしく炙った焼き鳥を裂いたものと、「ラオラム」というハーブ系の野菜と玉ねぎのスライス、刻み唐辛子をドレッシングであえたものがのせてある。付け合わせにレタスと輪切りのきゅうりが2枚添えられていた。それに、キャベツのキムチとスープがつく。香ばしい焼き鳥の香りと刻み唐辛子のピリリとする辛さや野菜に調和して、優しい味になっている。
ホイアンは、地鶏の名産地だという。遠い昔、日本から御朱印船がホイアンに来ていたころ、ホイアンの地鶏が日本に伝えられ、名古屋コーチンのもとになったと言われている。数百年も前からある料理かもしれないと思うと、なおいっそう味に深みを感じた。
ベトナムのチキンライスが好きになった。週1回はその店に食べに行った。値段も30,000ドンと格安だ。私にとってコムガーは間違いなくダナンの逸品グルメだ。
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コムガー屋の店頭。ケースの鶏を裂いてコム・ガーを作ります
ベトナム:ベトナムで見つけた、私の1番のグルメ
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小池 拓也さん (派遣先:ベトナム ホーチミン市)
ベトナムというと、みなさん、フォーや生春巻き、コーヒーといったものをすぐ思い浮かべるかもしれません。もちろんそれらもおいしいのですが、私がここに来て特に気に入っているのが「ブン・ボー・フエ(Bun Bo Hue)」という麺料理です。「Bun=米粉の麺」、「Bo=牛」、「Hue=フエ(地名)」、という意味です。ベトナムにはたくさんの麺料理がありますが、その中でも特にこれはお気に入りです。
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この料理は中部のフエという街の名物料理として有名ですが、ここホーチミン市にもたくさんのお店があります。路上の屋台のお店から高級レストランまで、どこでも食べることができます。私がよく行くお店では、1杯170円ほどで、次々にお客さんが来ます。高級店だと500円ぐらいします。
この料理の特徴は、まずは麺です。弾力がありプリプリとした食感の太丸麺です。そして、牛肉や肉団子や練り物などが入っていて、お好みでここにレタスやもやし、バナナの皮、葉などの野菜を入れます。私はいつもたくさん野菜を入れてから食べています。スープは、豚足と牛骨のダシがよく染み込んでいて、深い味わいです。レモングラスも少し入っているので、風味もよく、ぐいぐい飲めてしまいます。私の感覚では、麺の太さも、スープの濃さも、うどんとラーメンの中間です。
私はこの料理を初めて食べたときは、「普通においしい」ぐらいの感想だったのですが、2回3回……と食べるうちに、気づいたら「あー、今日もブン・ボー・フエ食べてーなー」と思う自分がいました。もうすっかりこの魅力にはまっていたのです。
ベトナムへ来る機会がある方は、ぜひこのブン・ボー・フエを試してみてください。
<おまけ~飲み物~>
飲み物では、ベトナムのミルクティー、「tra sua(チャ・スア)」をよく飲みます。こちらのものは、ものすごく甘いです。最初は「えっ、ちょっと、これは」という感じでしたが、すでにお気に入りになってしまったので、日本に帰ったらきっとこちらの味が恋しくなると思います。
500ccぐらいの容器にミルクティーと氷とトッピングをもりもりに添えて、だいたい60円なので安いです。それで、おもしろいのがこのトッピングなんです。タピオカやフルーツゼリーをはじめ、20種類以上もある中から何種類でも指さしで選ぶと入れてくれます。種類が豊富なので毎回選ぶのが楽しいです。私が通う高校のすぐ脇道で営業しているので、いつも生徒や若い人たちが買いに来ています。
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チャ・スアの屋台。ミルクティーを売っているとは思えないカラフルさ!
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左の緑色のドリンクが、チャ・スア。ドリンクを持って、ニッコリの生徒たち
マレーシア:マレーシアの甘いグルメ
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小山田 真弓さん (派遣先:マレーシア クダ州)
マレー料理は辛くて(pedas)、甘くて(manis)、でも(tetapi)、おいしい(sedap) ‼ こんな味に慣れ親しんでしまった私は、日本に帰って日本の味に戻れるかが心配です。
現地で一番おいしかった食べ物…… マレーシアでは何でも一通りの食べ物を食べることができます。 焼き飯(Nasi Goreng)、焼きそば(Mi Goreng)、焼き鳥(sate)、かき氷(ABC)……。 本当に迷ってしまいますが、あえて今回は私が毎朝学校の食堂で飲んでいるマレーシアの名物「teh tarik(テー・タリック)」をご紹介します。マレー語で「teh」は「紅茶」「tarik」は「引っ張る」という意味です。
砂糖、コンデンスミルクをたっぷり入れた紅茶を2つのグラスに注ぎかえて、泡立てながら混ぜていく。その泡立てられた“あわあわ”が食欲をそそります。本当に甘くておいしいのですが、私は健康を考えていつも“Kurang manis!(甘くしないでね!)”と~お願いしています。それでもやっぱり甘いのです。
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焼き鳥(sate)
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かき氷(ABC)
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テー・タリック(teh tarik)
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マレーシアにはおいしいものが、たくさんあります
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今回は、ベトナムとマレーシアのバラエティー豊かなグルメ事情をご紹介しました。ぜひ、一度は味わってみたいものばかりですね。 特に気になるのが甘~いミルクティー。東南アジアのスイーツやジュースは総じてとても甘いそうですが、暑い国にいると甘いものをたくさん摂りたくなるんでしょうか……(汗をかくから塩分をたくさん摂りたくなる、というわけではないようですね)。その土地だからこそ堪能できる「格別なおいしさ」。現地を訪れた際には、ぜひご当地グルメを実感してみてください!