国際交流基金アジアセンターとNPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)は、東日本大震災で甚大な被害を受けた東北、三陸沿岸地方を中心に三陸とアジアを芸能で繋ぐ「Sanriku-Asian Network Project (サンプロ)」を2015年より実施しています。
三陸沿岸地域は郷土芸能の宝庫といわれ、福島、宮城、岩手3県だけで2,000を超える芸能団体が存在しています。東日本大震災では、郷土芸能団体も住民の離散や施設、装束、道具の流失など大きな損害を受けたのですが、震災後、彼らは真っ先に立ち上がり、芸能を披露することで地元の人々を励ましました。郷土芸能は、その地域の共有かつ固有の財産であり、人と人、地域コミュニティをつなぐ精神的な紐帯として復興に寄与してきました。
国際交流基金アジアセンターは、民俗芸能が同じく盛んな東南アジアと三陸地域を「芸能」から繋ぐネットワークに発展させることで、世界の中の郷土芸能という観点から、その価値を再発見・再認識し、地域に対する愛着や誇り、郷土で生きる力を生み出す原動力へ繋げたいと考えます。
「サンプロ」は、以下の4つの柱を中心に事業を展開しています。
東南アジアの芸能を招へいするプログラム
東南アジアから民俗芸能団体を招へいし、「三陸国際芸術祭」と連携しながら同芸術祭に出演するほか、東北各地の郷土芸能団体と交流し、互いの芸能の共通点や伝承の方法など様々な角度から、交流を深めます。同時に滞日中は、学校や地域の公民館なども訪問し、市民との国際交流もはかります。
2016年度招へい事業の様子
被災地の郷土芸能を東南アジアに派遣するプログラム
三陸地域の郷土芸能を民俗芸能が盛んな東南アジアの地域に派遣し、現地の団体と芸能を通した交流を行います。派遣先では、現地の芸能の成り立ち、あり方などの理解を深めるほか、外国で芸能を披露することで、三陸の芸能の価値を再認識する機会とします。
2017年度派遣事業の様子
新しいアジアの芸能を創出するプログラム
「東南アジアの芸能を招へいするプログラム」や「被災地の郷土芸能を東南アジアに派遣するプログラム」によって出会った東北と東南アジアの芸能が共に刺激し合うことで、新たなアジアの芸能を創りだすことを目指します。
災害と芸能芸術をテーマとした学術交流プログラム
世界各地で頻発する自然災害に対して、文化芸術が担う「復興における郷土芸能の役割」や「被災地の郷土芸能の保存」等の課題について、大学等の研究機関や市民社会と連携して 世界的な視野そして長期的なスパンで考える場を創ります。
2017年度、2018年度および2019年度の本事業はbeyond2020の認証事業です。