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忘れられない生徒

赴任当初、9年生(中学3年生)の授業に行くと、彼は、いつも後ろの席に座りスマホをいじっていて、授業に参加せず、声をかけても心を開くことがありませんでした。
しかし、10月下旬に渋谷で行われるハロウィンイベントの様子を紹介した頃から、日本文化紹介に少し興味を持ち始めました。

2学期の『お好み焼き実習』では、いつの間にかリーダーとして、グループの生徒に指示を出しながら、楽しそうに料理をしていました。
彼は、できたてのお好み焼きを持ってきて、私が「おいしい!」と言うと満足げな顔をして「将来は料理人になりたい」と答えてくれました。

 『プチ運動会』で、デカパン競争やボール送り競争をした時も、率先してリーダーになり、みんなと一緒に汗を流しました。

そして『浴衣の紹介』では、モデル役を引き受けてくれ、「一緒に写真を撮りたい」と言って、ツーショット写真を撮りました。

更に、『抹茶体験』では、なんと一番前の席に座り、「抹茶が大好きなんだ」とお代わりを所望しました。

最後の文化紹介では、高校受験のために『しじみストラップのお守り』を作りましたが、彼は“合格祈願”の紙を入れ忘れて、ふてくされていました。そこで、私が合格パワーを注入してあげると、小さなストラップを大事そうにして持って帰りました。

今まで突っ張っていた彼は、徐々に心を開き、素直になって授業を受けるようになりました。

私は、35年間、日本で中学校教師をしていました。教師として一番嬉しいことは、生徒が変わることです。ベトナムでも日本でも、生徒は同じでした。私は日本語パートナーズとして、ベトナムの日本語教育に関わることができて、本当に良かったと感じています。
真剣に日本語を学ぼうとしている生徒達に、良い授業ができるように日々考え、自分自身も生徒達から学ばせてもらい、日本語教育こそ、“共育”だと実感しました!

Writer
ベトナム ハノイ
早川 知子さん

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