初めての、海外での生活。学校が長期休みに入りなかなか生徒と会うことができない状況の中、派遣先で日本人に出会うこともなく、日本語も日本食も喉から手が出るほど恋しく感じていた10月初旬……来たる中間研修で同期の日本語パートナーズ(NP)と会い、励ましあうことを本当に楽しみにしながら一日一日を送っていました。
しかし、私の派遣先シーサケートとお隣のウボンラチャターニーは、台風による被害で広範囲にわたり大洪水に。県外移動などもってのほか。CP先生(現地の日本語の先生)と私は、バンコクで実施される中間研修に対面で参加することができなくなってしまいました。
この後も水かさが増していく洪水の様子
研修当日は、国際交流基金バンコク事務所の方々が臨機応変に対応してくださり、オンライン参加でも積極的に前期を振り返ったり、後期の活動について考えたりすることができました。一方で、「対面で参加したかったな……」と、いつまでもくよくよしてしまっている自分も……。
どうしても洪水を自分の目で見て確認するまで納得できないと思った私。自転車を走らせアパートの周りをぐるぐると周っていると、だんだんと現実が見えてきました。
数えきれない人々が、避難所や、雨風をしのぐことのできないテントで生活していること。たくさんの家が浸水していること。何気なく前を通っていた消防署が、実は災害センターとなっていること。非難するためにボートを利用している人がいること。一日に何往復も救助用ヘリコプターが行き来していること。
災害センターとなっている消防署
学校から出発する救助用ヘリコプター
その時、自分のことしか考えられていなかったことや、シーサケートでたくさんの人に助けられたのに、自分が何もできていなかったことにハッと気が付きました。
日本という土地で生まれ育った私は、たくさんの人の思い出や命が、一瞬の自然災害で失われてしまうことをよく知っています。ああ、このままじゃいけないなと感じました。
自分には何ができるかなと考えて、まずはシーサケートの現状をSNSで発信し、ほんの少しですが日用品の寄付を行いました。次は何ができるかなと、今考えているところです。
と、このように少し深刻そうな文章を書きましたが、タイの人たちはどんな時でも明るく元気です!洪水の中で記念撮影をしたり、冗談を言い合って励ましあったり、ボートレースを行ったり……この街も全く暗い感じではありません。
困難に直面した時こそ、明るい笑顔で励ましあうことが、みんなで協力して問題を乗り越えるためには大切なのかもしれません。つらいことや、難しいことがあっても、笑って乗り越える勇気をタイの人たちから日々与えてもらえている気がします。
そんなこの国が、このシーサケートが大好きです。