ベトナム滞在2か月目のある日、こんなニュースが届きました。
「コロナによる入国規制が緩和され、神奈川県鎌倉市の小さな踏切が観光客でにぎわっている」
私は思わず小躍り。実は、渡越前、この場所を訪れ写真を撮ったからです。そこはアニメの聖地。1990年代の人気漫画、井上雄彦さん原作の「SLAM DUNK(スラムダンク)」の聖地です。テーマソングとともに描かれたアニメのシーンが、江ノ島電鉄「鎌倉高校前駅踏切」です。
そのシーンを描いてみました。
スラムダンクの踏切 手書き
電車が駅に着いたところです。主人公の桜木花道がカバンを肩に載せ立っています。踏切の向こうには女子学生。その向こうには海が広がります。私が訪ねた日、踏切付近にはファンがたむろしていました。狙いはもちろん、これです!
スラムダンクの踏切①
主人公になりきっている私です。誰もが一心不乱に漫画のシーンを写真に収めようとする、これが「アニメの聖地」です。
この写真を授業でお披露目してみました。
私はベトナム・フエの中学・高校の計4校で活動しています。日本語クラスの生徒に自己紹介するとき、私の趣味として「アニメの聖地巡礼」を説明します。
「日本にはちょっと変わった『聖地』があります。それは、アニメや漫画から生まれた『聖地』です。漫画の舞台になったとか、漫画を描いた人が住んでいたとか、『アニメの聖地』にはファンにとって大切な理由があります。『スラムダンク』の聖地は(※地図で鎌倉を指す)この小さな踏切。でも、ここだけではなく、アニメや漫画の聖地は全国にあります。ファンはあちこちを訪ね歩くので『アニメの聖地巡礼』と言います。」
スラムダンクの踏切②
40年前のこと。漫画家・石ノ森章太郎さんと対談したとき、「さんだらぼっち」という江戸下町を舞台にした漫画について石ノ森さんが意外なお話をしてくださいました。下町から眺めた江戸の家並はどうあればいいのか?あれこれ研究したそうです。そうして得た結論は、彼の出身地、宮城県中田町(現:登米市〕の風景を描くことだったそうで、「江戸の家並になりました」とおっしゃいました。それが、私の「アニメの聖地巡礼」の始まりです。江戸の家並を見てみたい、と中田町に足を運びました。
「聖地」はファン憧れの場所であると同時に、地域を元気にする場所でもあります。ファンが訪れることで、地元の人が地域を見直すきっかけになった例が全国にあります。
「スラムダンク」はバスケットボールに打ち込む主人公たちのひたむきさが人気の秘密でした。その踏切前に立ち自分に誓いを立てる。まさに「聖地」たるゆえんです。
と、生徒が「同じポーズをしてみたい」と。いいですよ!một.hai.ba cười đi!
ファンサオナム中学校9年生(日本の中学3年生)のMinh Truongさん
いいポーズです!ベトナムからも「アニメの聖地巡礼」が増えることを期待しています。