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日本語パートナーズ短期派遣― ブルネイ短期(1期)活動報告 ―

日本語パートナーズ短期派遣事業は、派遣先ごとに異なるニーズに対応するため、地域・対象者等を限定したうえで募集を行っています。

今回のブルネイ短期(1期)では、過去に日本語パートナーズとして派遣された経験を持つ方々の中から選考を行い、6名1グループとして派遣し、首都バンダル・スリ・ブガワンを中心に、中等・高等教育機関や成人教育機関等で、日本語を学ぶ学生等との交流を深めました。

日本語パートナーズブルネイ短期(1期)
上見勇二、小林広子、櫻井美希子、田口綾子、中牟田哲也、箕浦広志

みなさん、Selamat tengah hari!(マレー語で「こんにちは」)
私たちは、日本語パートナーズ(NP)、ブルネイ短期1期です。

といっても、ブルネイがどんな国かご存知でしょうか?

まずはブルネイについてご紹介します。ブルネイは、日本から飛行機で南に約6時間半、赤道近くのボルネオ島(カリマンタン島)にあります。島北部の海岸にある、三重県とほぼ同程度の大きさの国です。人口は約44万人で、天然ガスの輸出量の多くが日本向けだそうです。 私たちは、そんな日本との関係が深いブルネイを、2023年9月17日から24日までの7日間に渡り訪問し、各地の高校、インターナショナルスクール、大学、成人教育機関において、日本語や日本文化を伝える活動を行いました。

セラサビーチにて「BRUNEI」ポーズ

各派遣先での活動の様子

各地の高校及びインターナショナルスクールでは、日本語を普段学んでいない生徒を対象に、主に日本文化紹介を行い、大学の日本語クラブや成人教育機関では、日本語学習者を対象に主に日本語を用いた活動を行いました。
文化紹介では、メンバーのそれぞれの特技を生かし、浮世絵の版画づくり、折り紙、日本の遊び(福笑い、豆つかみ、けん玉)、日本舞踊、すずめ踊り、アニソン(アニメソング)ダンスを紹介し、生徒や先生方からとても喜んでもらえました。披露するだけでなく、実際に手や体を動かし体験してもらったからだと思います。

例えば、インターナショナルスクールでは、高校生に対して日本の高校・大学生の生活を紹介したほか、消しゴムハンコで手作りした版を使い、葛飾北斎の赤富士の版画づくりも体験してもらいました。また小学生には、折り紙で浴衣を作ってもらいました。折り紙が初めての生徒も多く、折るのに必死でしたが、何とか完成させるとニッコリ笑顔で記念に持ち帰ってくれました。このときの活動の様子が地元紙に掲載され、私たちも嬉しく思いました。
一方、ブルネイ大学やブルネイ工科大学の日本語クラブでは、日本語での名札づくり、自己紹介の練習、日本の季節に関するディスカッションを行いました。筆ペンを使ってカタカナで自分の名前を書いたり、「冬」の良いところ・悪いところを話し合ったりしました。私たちにとって意外だったのは、学生たちがブルネイにはない「冬」についてよく知っていたことです。「クリスマスに恋人がいないと寂しい」、「雪が降ると滑りやすい」などの意見が出て、日本のドラマやアニメの影響を感じました。

公立高校で行った浮世絵版画づくり

活動で工夫したこと、苦労したこと

各派遣先ではシャイな生徒が多かったので、私たちは、オノマトペの紹介などで大袈裟なジェスチャーをしたり、小芝居をしたりして、場を盛り上げる工夫をしました。例えば、「ドキドキ」というオノマトペを紹介する時には「もしあの子に告白したら“ドキドキ”するかな?」とハート型の折り紙を見せながら話を振ると、どっと笑いが起きていました。

公立高校でハート型の折り紙を用いて「ドキドキ」というオノマトペを紹介

一方で苦労したことは、各派遣先校の参加人数や設備、式次第などの状況に応じて臨機応変に対応していかなければならなかったことです。そのため毎日の活動終了後に、話し合いの場を設けて活動を振り返り、活動内容をアップデートさせていきました。メンバーで対話を繰り返すことで、チーム力が高まり、それぞれが自主的にチームを支え、助け合いながらやりきることができたと思います。短期間でのグループ活動の難しさがあったからこそ、皆で成し遂げたときの達成感はひとしおでした。

公立高校でのすずめ踊りの紹介

印象に残ったこと、気付きがあったこと

ブルネイのみなさんの“おもてなしの心”が印象に残りました。私たちを盛大に歓迎してくれたことが、何より嬉しかったです。ブルネイの文化を私たちに知ってもらおうと各学校がさまざまな工夫を凝らして文化紹介をしてくれました。生徒たちや先生方による伝統的な舞踊や音楽、民族衣装などの各種文化紹介に、私たちが積極的に参加することで、生徒たちはより生き生きとした表情で応えてくれました。私たち自身が「楽しもう!」という姿勢が大事だったと思います。日本の文化を伝えるだけではなく、私たち自身も同時にブルネイの文化を学ぶことができ、一方通行ではない双方向の文化交流の機会とすることができました。NPは日本のファンを増やす活動ですが、心と心の交流を通じて私たちメンバーも全員ブルネイのファンになりました!

ブルネイ大学でハート形の折り紙を持って記念撮影

この活動を今後どのように活かしていきたいか

ここでは、今回派遣されたメンバーそれぞれの意見を紹介します。それぞれで、今後さらに活躍の場を広げていくのではないかと思います。
「国際交流の楽しさや大切さ、ブルネイの国について、観光を学ぶ日本の若者に伝えたい」
「若い世代の日本人に伝えて、彼らが世界に興味や関心を持つきっかけづくりに活かしていきたい」
「SNSを通じて互いの国の文化を情報発信することで、交流を続けていきたい」
「ブルネイでの活動後、他国に移住した。先入観を捨ててありのままを受け入れる経験を活かし、楽しく生きていきたい。以前の派遣先校のお手伝いも継続しているので、日本舞踊もやってみようかな?」
「マレー系、中国系などさまざまなルーツの人が共に暮らす文化を見て、日本での多文化共生の地域づくりに活かしていきたいと思った」
「学校教育等の場面でASEANの政治経済、歴史に触れる際、ブルネイを通したその『豊かさ』や、日本とブルネイを中心に日-ASEAN関係の伸びしろを検討する時間を取りたい」

ブルネイの醍醐味、面白さ等

ブルネイの醍醐味といえば、まず、大自然です。マングローブに行けば、島の固有種であるテングザルを見ることができます。また私たちが訪れた時期は、国花であるシンポールという黄色い花がちょうどきれいに咲いていました。
また、観光地巡りの旅行では味わえない現地の人との交流も醍醐味の一つです。穏やかで温かいブルネイの人々の人柄を知ることができたのはNPでの活動だからこそだと思います。
そして、ブルネイでは、普段の日本の生活では体験できないムスリムの方たちの生活に触れることができます。例えば、毎週金曜日の昼から午後2時にかけては、お祈りの時間があるため、全ての店が閉まってしまいます。街にそびえ立つ立派なモスクではお祈りしている人をよく見かけました。国民全体的に敬虔な信仰心が窺われました。
さらに、ブルネイの郷土料理、“アンブヤット”もご紹介したいです。学校でいただいたおもてなし料理として何度か登場しました。粘り気が強く、日本のお餅のような食感で、ヤシの樹木から取れるデンプンから作られているそうです。乾燥させたデンプンの白い粉にお湯を注ぐと、あっという間にねばねばしたものに変身します(その様子は何かの実験のようでした)。それを、箸の持ち手部分が一つになった棒でつかみ、ソースにつけてぐいっと飲み込むのが流儀だそうですが、なかなか一気に飲み込めませんでした。そんな食文化もブルネイの魅力です。

ニューモスクで記念撮影
Writer
ブルネイ
日本語パートナーズ ブルネイ短期(1期)さん

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