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経験者に聞く

インドネシアで学んだことをどう生かすか考え抜いて選んだ進路 - インドネシア3期 成瀬あずみさんインタビュー

インドネシア
成瀬 あずみさん

生徒に日本語の学習を楽しいと感じてもらうことを念頭に活動

―日本語パートナーズとしての活動についてお聞きします。まず、派遣先であるインドネシアの学校について教えてください。

成瀬 :派遣された東ジャワ州のマランは、州都のスラバヤ市から車で3時間くらいのところにあります。周りを山に囲まれた高原地帯で、インドネシアの信州とでも言えばいいでしょうかね。派遣先校ですが、私の場合は3校でした。

―3校! どういうスケジュールで3校を回ったのですか。

成瀬 :私立のカトリック高校、ムスリムの生徒が多い都市部の国立高校、都市部から車で1時間以上かかる国立高校、その3校にそれぞれ週2日ずつ。学校の雰囲気も生徒の特徴もまったく違う学校を見ることができて、その点は面白かったです。

成瀬さんと生徒たちの写真
国立高校1年生の生徒たち。成瀬さんが教室に入るだけで歓声が上がる元気いっぱいのクラス

―先生の教え方や授業のスタイルも、学校によって違ったでしょうね。

成瀬 :日本語の歌で授業を始める先生もいれば、ひらがなを書いたカードを使う先生もいて、教え方は三者三様です。各先生のやり方に合わせて、こちらもサポートの仕方を変えないといけないのが大変でしたね。でも、ただ合わせるだけじゃなく、私から提案したこともあります。歌を取り入れている先生は自分で五十音の歌を作って授業をしていて、この方法はいいと思ったので、別の学校の授業で先生に30分いただいて生徒に五十音の歌を教えました。すると先生が、生徒たちの楽しそうな様子を見て「私も今度やってみます」と言ってくださって。これは派遣先校が複数だったからできたことですね。

―派遣先校の先生に提案を試みる上で何か心がけたことはありますか?

成瀬 :各先生の教え方を尊重しつつ、「こんな教え方もありますけど、どうでしょう」と控えめに提案するようにしていました。そうすると、たいてい肯定的な返事が返ってきます。どう持ちかけると伝わりやすいのか、勉強になりましたね。
提案する以外に、教材も作りました。授業で日本の四季を紹介する時に、学校の年間スケジュール表のようなものを作成したりして。私が帰国した後に、先生がその教材を使ってくれたらいいなと思います。

―手作りの教材を取り入れることによって、生徒の学習意欲も刺激できそうですね。

成瀬 :どんな教材があれば日本語が身につくか考えながら作りました。授業で使ってみたら生徒の反応がさっぱりで、どこがダメだったんだろうと悩んで作り直したこともあります。言語って、少しでもできるようになると学ぶのが楽しいんですよ。日本語パートナーズの活動でコアとなるのも生徒に日本語の学習を楽しいと感じてもらうことで、そこは外せないと思って教材作りには力を入れました。

授業の様子の写真
先生と五十音の歌で楽しくひらがなを教えている様子。教室が足りず、じゅうたんを敷いて別の部屋で授業を行うことも。

生徒と1対1の関係を築くための取り組みがもう少しできていたら……

―派遣先校以外での活動についても聞かせてください。

成瀬 :東ジャワ州の日本語教育教師会の研修会に参加した際に、日本語パートナーズが派遣されていない国立高校の先生から依頼を受けて、日本文化を紹介するために訪問しました。マランから車で3時間以上かかる村で、先生も生徒も初めて見る日本人に興味津々。なんと花道まで作られていて、盛大な拍手で迎えられました(笑)。驚いたのは、日本語がペラペラの生徒が数名いたこと。自分たちで日本のアニメやアイドルの研究会を立ち上げたと話していました。たとえ1日だけの訪問でも日本人が自ら日本の文化を紹介することに意味があると思いつつも、できれば継続して行きたかったですね。
 マランの日本語教育教師会が主催する「日本語キャンプ」にも参加しました。マランには私の他にもう一人日本語パートナーズが派遣されていて、この機会にと現地の先生たちが企画してくれたんです。参加者はマランの各高校の生徒と先生、私たち日本語パートナーズ、そしてマランにある大学の日本人講師と留学生。この地域の日本語教育が盛り上がっていくように、私たち日本語パートナーズがマランの高校と大学、社会の橋渡し役になろうということで、大学の先生と留学生も誘うことにしました。

―日本語パートナーズの同期メンバーと共に活動する機会は他にもありましたか?

成瀬 :東ジャワ州に派遣された日本語パートナーズは私を含め9名いて、何かイベントがあると一緒に活動していました。一番達成感があったのは「NP(日本語パートナーズ)キャラバン」。9名全員で各地域にある日本語パートナーズの派遣先校を回って日本の文化紹介、メンバーによる日本語の劇、日本に関する参加型ゲームなどを行ったんです。合計2,000名の生徒が参加してくれて、現地の新聞にも取り上げられました。自分一人だけでは限界があるけれど、メンバーが力を合わせるとこんなチャレンジもできる。「NPキャラバン」は生徒のモチベーションを上げるきっかけになったのではないかと、メンバー全員が感じています。

大勢の人と撮影したNPキャラバンの集合写真
多くの人たちから協力を得て大成功を収めたNPキャラバン。現地の人々が日本に興味を持ってくれる機会となった。

―派遣期間中、とてもエネルギッシュに活動していたことが伝わってきます。

成瀬 :もっと頑張れば、まだまだできたことがあった気がします。派遣先校が3校で時間が限られていたとはいえ、生徒との1対1の関係を大切にするための努力はもう少ししたかったですね。日本語のスピーチコンテストに応募する生徒のサポートは個人的にできましたけど、進路の相談に乗るというようなことにも取り組めたらよかったと思います。
 LD(学習障害)の生徒に対するサポートも十分にできませんでした。ある派遣先校にいたんです。でも、先生にはLDの知識がほとんどないようでした。国際交流基金から提供される教材も、果たしてLDの生徒に適応するのかどうか……。日本語教育の現場ではどんな支援が行われているのか、もし情報があるなら事前研修などで教えてほしかったというのが正直なところですね。LDへの対応は、自分にとっても課題の一つだと考えています。

インタビューを受ける成瀬さんの写真

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